いはつ【衣鉢】
〘名〙
三衣と一鉢。また、法を継ぐ証拠として師僧から伝える袈裟(けさ)と鉢。転じて、師から弟子に伝える学問や技芸などの奥義。えはつ。いはち。※江戸から東京へ(1921)〈矢田挿雲〉七「後ち三代豊国の門に入り国周の雅名を貰ひ師の衣鉢(イハツ)を伝へ世間から明治の豊国と謳はれた」
〘名〙
仏語。① (「さんえいっぱつ(三衣一鉢)」の略) 僧の着用する三種の法衣(袈裟)と食器(鉄鉢)のこと。出家受戒の時、これらを整えていることが重要な条件とされた。また、修行僧の持ち物、道具など一切を指すこともある。いはつ。えはち。
※今昔(1120頃か)七「衣鉢を弃(す)てて、大般若経を書写し奉て、心を至して供養す」
※落葉集(1598)「衣鉢 ゑはつ ゑはち」 〔四分律‐三四〕
② (法を伝えるその証として衣鉢を与えたところから) 法、宗義あるいは奥義。転じて、師から弟子に伝える学問、技芸などの奥義。いはつ。えはち。→衣鉢(いはつ)を継ぐ。
※教行信証(1224)六「若奪二衣鉢一、及奪二種々資生具一者、是人則壊二三世諸仏真実報身一」 〔付法蔵因縁伝‐一〕〔従容録‐二則〕
③ 僧の蓄えている銭、帛などの類。
※禅林象器箋(1741)銭財「僧銭帛総言二衣鉢一」
④ 「えはつじしゃ(衣鉢侍者)①」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
補注エは「衣」の呉音。三衣一鉢のことであるが、「今昔物語集」では①の挙例のほかに「衣鉢を投棄て」「衣鉢を棄てて」などの類型表現で、すべてを投げうつことを比喩的に表わしている。
〘名〙
衣鉢(えはつ)のこと。禅宗でいう。いふ。