今物語
(いまものがたり)
鎌倉時代の説話集。一巻。藤原信実{のぶざね}著。1239年(延応1)~41年(仁治2)の間の成立。平安後期以後の比較的新しい説話53編を集める。和歌、連歌や恋愛に関する上流男女の話題が多く、彼らの風雅さを「やさし」と評する章段が中心をなすが、滑稽譚{こつけいたん}の類も目だち、とくに後半は卑俗に流れる傾向がある。平家の時代、『千載{せんざい}集』『新古今集』歌壇の人々などの知られざる一面を伝える興味深い説話集で、『平家物語』などに影響を与えているが、ややじみな印象があり、広く読まれるに至っていない。 <三木紀人>
【本】久保田淳他校注『今物語・隆房集・東斎随筆』(1979・三弥井書店)
