人間嫌い
(にんげんぎらい)
Le Misanthrope
フランスの劇作家モリエールの戯曲。五幕韻文喜劇。1666年初演。『ミザントロープ』『孤客』『怒りっぽい恋人』などとも訳される。直情径行のアルセストは若い未亡人セリメーヌを愛しているが、コケットな彼女は周囲に愛嬌{あいきよう}を振りまくばかりでなかなか本心を明かそうとしない。才気煥発{かんぱつ}の彼女は巧みな会話でサロンの客たちを喜ばせ、アルセストの憤懣{ふんまん}を募らせる。アルセストは係争中の訴訟に敗れ、理の通らない世間に絶望感を抱く。セリメーヌはほうぼうに送った恋文を同時に突きつけられ窮地に陥る。アルセストは俗界を離れて2人で暮らそうと真率に彼女を誘うが、セリメーヌには社交なしの生活は考えられない。両者は平行線をたどるばかりである。2人の周囲にうぬぼれの強い詩人、軽薄な侯爵たち、信心を装う女性らを配し、戯曲は上流社会の戯画を示している。フランス古典喜劇中きわめて完成度の高い作と目される。 <井村順一>
【本】辰野隆訳『孤客(ミザントロオプ)』(岩波文庫)
