人間の条件
(にんげんのじょうけん)
五味川{ごみかわ}純平の長編小説。全6巻。1956年(昭和31)8月から60年1月にかけて三一書房刊。主人公の梶{かじ}は、徴兵を免れるため満州(中国東北)に渡り、軍需会社の鉱山の労務管理に従事していたが、特殊工人(中国人捕虜)の不当処刑に抗議した結果、憲兵と対立、拷問を受けたのち、召集され、ソ満国境の警備につく。ソ連軍との戦いで部隊は壊滅、梶は数名の兵と満州の曠野{こうや}を彷徨{ほうこう}し、捕虜となるが、脱走し、妻の美千子を求めてさまよい、雪に埋もれて死ぬ。侵略戦争というものの実体とその極限的な状況のもとでの人間的良心の問題を、作者の入隊、戦争、捕虜の体験を背景に探った戦争文学作品である。小林正樹{まさき}監督による映画化(1959~61)は、全6部(2部ずつ3回に分けて公開)、総上映時間9時間30分余の大作として話題をよんだ。 <磯貝勝太郎>
【本】『人間の条件』全六冊(文春文庫)
