五常
(ごじょう)
五行{ごこう}ともいい、儒教において恒常不変の道とされる、仁義礼智{ち}信の五つの徳。別に五倫・五教などをさすことがあるが、前漢の董仲舒{とうちゆうじよ}が王者の修めるべき「五常の道」としてこの五徳を唱えてから、五倫とともに儒教倫理説を代表するものとなった。これより先、孔子{こうし}(孔丘)は、諸徳を包摂する最高の徳として仁を説き、孟子{もうし}(孟軻{もうか})は仁義を強調し、さらに礼智をあわせた四徳四端を唱えて性善説を展開したが、董仲舒は五行{ごぎよう}思想に基づいてこれに信を加えたのである。なお、中国仏教では、五戒をこれに配して五常ともよび、不殺生戒は仁、不偸盗{ちゆうとう}戒は義、不邪婬{じやいん}戒は礼、不飲酒戒は智、不妄語{もうご}戒は信とし、これを実行することが大孝であると説いている。 <廣常人世>
【本】赤塚忠他編『中国文化叢書2 思想概論』(1968・大修館書店) ▽宇野精一著『儒教思想』(1984・講談社学術文庫)
