五声
(ごせい)
音階理論用語。中国に始まり、朝鮮、日本、ベトナムに伝わった。五音{ごおん/ごいん}ともいい、五音音階を意味する。各音は宮{きゅう}・商{しょう}・角{かく}・徴{ち}・羽{う}とよばれ、徴と宮の半音下に変徴・変宮の二音を加えたものを七声という。おもに雅楽や声明{しょうみょう}で用いられる。
中国音階の基調をなす五声は、宮を出発点とし、三分損益法{さんぶんそんえきほう}で五度上、四度下と音を交互にとることによって得られる。これを音高順に配列すると宮・商・角・徴・羽となり、西洋音階のド・レ・ミ・ソ・ラに相当する。五声がいつごろから用いられたのかは不明であるが、周末から前漢にかけて、前述の算法が『管子{かんし}』『呂氏春秋{りょししゅんじゅう}』『淮南子{えなんじ}』に記されている。さらに、漢代には方位や五行説と深く結び付いた。
日本へは奈良時代にこの中国の五声が移入されたが、平安時代になると日本式の五声が生まれた。それは、中国の五声の第五度(徴)を宮に読み替えた音階で、西洋音階のド・レ・ファ・ソ・ラに相当するものである。前者を呂{りょ}、後者を律{りつ}と区別した。その後、律の五声に新たなものも加わったが、中国の五声を呂、日本式の五声を律とよぶのが習わしとなった。三分損益法 <山口 修>
