二人袴
(ふたりばかま)
狂言の曲名。聟{むこ}狂言。聟(シテ)が、1人で聟入り(結婚後初めて舅{しゅうと}を訪ね、盃{さかずき}を交わす儀式)するのは恥ずかしいというので、父親が同道し、舅の家の前で袴を着けてやる。門前に親を待たせたまま、聟は舅に初対面の挨拶{あいさつ}をするが、親の同伴がわかってしまい、父親も座敷へ招かれる。ところが、祝儀の場に着用すべき袴は聟の分しかないので、門前で急いではきかえ、交替で1人ずつ舅の前へ出る。2人共に出るよう求められて困った親子は、袴を前後に引き裂き、それぞれ前垂れのように前に当て、座敷へ通る。盃事{さかずきごと}のあと舞を所望され、聟は後ろを見せないようにごまかしながら舞うが、親子は舅に誘われ3人連舞{つれまい}で舞ううち、袴の後ろのないことが露見する。聟が後ろを気にしながらぎこちなく舞う所作のおもしろさが見どころ。この曲に取材した歌舞伎{かぶき}舞踊に福地桜痴{ふくちおうち}脚色の『二人{ににん}袴』があり、1894年(明治27)6月東京・歌舞伎座で初演された。狂言 <林 和利>
