LST
(えるえすてぃー)
戦車揚陸艦landing ship tankの呼称。揚陸艦艇の一種で、車のほか、各種車両、人員、物資を搭載して遠距離輸送し、自ら海岸に接岸してこれらを直接揚陸させる。箱型に近い船型で、船体内部に車両搭載甲板が設けられ、上甲板にも車両が搭載できる。車両甲板の前端部に下端をヒンジ(丁番{ちょうつがい})とした道板(ランプ)を設け、その前方に観音開きの門扉をもつ防波構造の艦首部を有し、海岸に接岸後門扉を開き、道板を前方に倒して、車両など搭載物を揚陸する。第二次世界大戦中の1941年にイギリス軍の発想により生まれ、これをアメリカ軍が満載排水量約4000トン、速力11ノットの艦として設計、42~45年に1000隻余が大量建造され、大戦中各方面の上陸作戦に使用された。戦後さらに改良され、最終的には満載排水量約7000トン、速力16.5ノットの艦が出現した。LSTのこの型式の艦は第二次世界大戦後広く各国で使用されている。アメリカ軍はLSTの高速化を図り、60年代の後半から、従来型式の艦とは異なる上甲板から道板を出して車両などを揚陸させる方式を採用し、艦首部を細くした船型として速力20ノットを出すニュー・ポート級New Port Class(満載排水量8450トン)を建造したが、従来艦に比べ使いにくく、他国の海軍はこの型式の艦を建造することはなかった。冷戦終結後の軍備縮小により、老朽化しつつあるニュー・ポート級は90年代初期から逐次退役し、その役割を新造のドック型揚陸輸送艦(LPD)に譲り、現在は海軍予備部隊所属の2隻を残すのみで、除籍艦の多くは外国に売却されている。揚陸艦艇 <阿部安雄>
【本】石橋孝雄「軍艦のルーツうんちく考Part?戦車揚陸艦」(『丸』612号所収・1997・潮書房) ▽Richard Sharpe : Jane’s Fighting Ships 1998-99(1998, Jane’s Information Group) ▽Allied Landing Craft of World War Two(1985, Arms & Armour Press) ▽J.P.Ladd : Assault from The Sea 1939-45 ; The Craft, The Landing, The Men(1976, David & Charles)
