ILS
(あいえるえす)
instrument landing systemの略称で、計器着陸装置のこと。航空機が滑走路に着陸する際、視界が悪く上空から滑走路が見えなくても、正確に進入し安全に着陸できるように地上から指向性電波を発射し、航空機に正しい降下路を指示する装置である。ILSは、地上施設と機上装置から成り立っている。地上施設は、ICAO{イカオ}(国際民間航空機構)で着陸援助施設の国際標準方式として規定され、次の三つの装置から構成されている。
(1)ローカライザーlocalizer 滑走路の中心線の方向を示す装置で、電波はVHF帯の電波(108~112メガヘルツ)を使用する。進入コースの中心線に対して左右に2.5度ずつの広がりをもって発射され、滑走路に向かって左側は90ヘルツ、右側は150ヘルツの変調信号が優勢になるような放射電界をつくり、中心線上にあれば両方の信号が等しく受信できるようになっている。電波の通達距離は18~33キロメートルである。
(2)グライドパスglide path, glide slope 滑走路への適切な進入角度を示す装置で、UHF帯の電波(328.6~335.4メガヘルツ)を使用する。水平面に対して2.5~3.0度の進入角を形成し、進入コースの上側では90ヘルツ、下側では150ヘルツの変調信号が優勢となり、コース上では両方の変調度が等しくなるようになっている。電波の通達距離は通常18キロメートルである。
(3)マーカービーコンmarker beacon VHF帯(75メガヘルツ)の指向性の電波を垂直上方に発射して、この上空を通過した着陸進入中の航空機に、滑走路から特定の距離にある位置に到達したことを知らせる装置である。滑走路からの距離によりアウターマーカー、ミドルマーカー、インナーマーカーの3種類の装置がある。アウターマーカーは400ヘルツの変調周波数を使用し、滑走路より6.5~11キロメートルの地点に設置されている。ミドルマーカーは1300ヘルツの変調周波数を使用し、滑走路より900~1200メートルの地点に設置されている。インナーマーカーは3000ヘルツの変調周波数を使用し、滑走路から75~450メートルの地点に設置されている。通常インナーマーカーが設置されることはまれである。そのほか補助として、マーカービーコンのかわりにDME(距離測定装置)やLF/MFロケータービーコンが使用されることがある。
一方機上では、受信機で地上からの電波を受信すると、自機の位置が正しい進入コースから上下左右にどれだけずれているかが指示器に表示される。パイロットはこの指示器を見ながらコースから外れないように操縦すれば、正しい降下路に沿って進入することができる。また進入中にマーカーの上空を通過すると、操縦室内のマーカーライトが点灯すると同時に変調音が聞こえ、滑走路までの水平距離を知ることができる。現在では、大形機の多くはILSとオートパイロット(自動操縦装置)が連結された装置をもっており、電波を受信すればコースに沿って自動的に進入降下を行うことができる。
ILSによる誘導がどの高度までできるかは、地上施設や機上装置の種類や精度、パイロットの技量などによって異なり、その使用状態の程度により次の三つのカテゴリーに分けられている。カテゴリーIは、視程800メートル以上の場合、高度60メートルまで。カテゴリー?は、視程400メートル以上の場合、高度30メートルまで。カテゴリー?は、地上までILSにより誘導することができる。地上施設や機上装備が改良された現在では、カテゴリー?までが実用化されている。空港 <青木享起>
