不動院
(ふどういん)
広島市東区牛田新町にある寺。広島県真言宗教団に属する。新山安国{にいやまあんこく}寺と号する。本尊は薬師如来{やくしによらい}。開創は平安時代にさかのぼり、開基は空窓と伝えるが不詳。南北朝期に足利尊氏{あしかがたかうじ}が諸国に安国寺を設けたとき、当寺を臨済宗に改めて安芸{あき}国安国寺としたといわれる。その後荒廃したが、大永{たいえい}年間(1521~28)、安芸武田氏から出た安国寺恵瓊{えけい}が中興。恵瓊は毛利輝元{もうりてるもと}の信任を得るとともに、豊臣{とよとみ}秀吉にも評価が高く、1591年(天正19)には秀吉から一万一千五百石余の寺領を受けた。文禄{ぶんろく}の役(1592)では朝鮮にも従軍し、そこから持ち帰った材木で楼門(国重要文化財)を建造した。また高麗{こうらい}初期作の朝鮮鐘(国重要文化財)もそのときの将来品と伝える。恵瓊は関ヶ原の戦いで西軍に味方して処刑され、1601年(慶長6)に安国寺に入った宥珍{ゆうちん}の代に真言宗に改宗、不動院とよばれるようになった。金堂(国宝)は周防{すおう}山口にあった大内義隆{よしたか}建立の仏殿を移したものと伝える禅宗様建築である。平安期作の本尊薬師如来坐像{ざぞう}、室町期建立の鐘楼がともに国重要文化財となっている。 <水谷 類>
