試薬

(しやく)
reagent
化学的方法による物質の検出や定量に用いられる特定の純度の薬品類をいう。試薬はJIS{ジス}(日本工業規格)の規定による性質、品位、試験方法の規格に従い、特級、一級および特殊の三等級に分類され、前二者は純度の程度を示し、特殊試薬とはアルカリ分析用、水素イオン濃度(pH)用など特定の目的にのみ用いる試薬をいう。試薬特級は一般の化学分析や精密実験などにそのまま使用できる程度の純度のもので、試薬一級は普通の化学実験に用いることのできる程度のものである。それ以下の純度のものを工業薬品という。

【標準試薬】
試薬特級以上の純度を有し、主として容量分析の基準として用いられる標準試薬が認定されていて、使用にあたっての取扱い条件等がJISで定められている。現在、標準試薬として用いられるものは塩化ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、スルファミン酸、炭酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、ヨウ素酸カリウム、亜鉛、銅、三酸化ヒ素、二クロム酸カリウム、フタル酸水素カリウムの11種である。標準試薬にはこれらのほかpH標準用、元素分析用、熱量測定用などがあるが、普通、標準試薬という場合は前述の11種をさす。なお、1966年(昭和41)のJISの改訂で、フタル酸水素カリウムはpH標準試薬に入れられ、容量分析の標準試薬から外された。

【標準溶液】
標準試薬を正確に秤量{ひょうりょう}し、水で一定容積に希釈して調製した溶液を一次標準溶液といい、標準試薬以外の試薬から調整した試薬溶液を、この一次標準溶液で標定して二次標準溶液を得る。容量分析全般には二次標準溶液が多く用いられる。なお水に溶けない試薬、たとえば亜鉛は、標準試薬の亜鉛を正確に秤量したのち塩酸に溶解し、過剰の塩酸を追い出したあと一定容積に希釈して一次標準溶液を得る。

【標準溶液相互の関連性】
炭酸ナトリウムの一次標準溶液を用い中和滴定による標定で塩酸、硫酸の二次標準溶液が得られ、これから水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのアルカリ標準溶液が得られる。アルカリ標準溶液は一次標準試薬のスルファミン酸またはフタル酸水素カリウムを用い、標定しても得られる。酸化還元反応を利用するものとしては、シュウ酸ナトリウムの一次標準溶液を用い、酸化還元滴定により過マンガン酸カリウムの二次標準溶液が得られ、これを用いてシュウ酸や鉄(?)の二次標準溶液を標定により得る。また、ヨウ素酸カリウムの一次標準溶液を用い、酸化還元反応によりチオ硫酸ナトリウムの二次標準溶液を得、これを用いてさらに種々の二次標準溶液を得る。沈殿反応を利用するものとしては、塩化ナトリウムの一次標準溶液を用いて硝酸銀の二次標準溶液が得られ、さらにこの硝酸銀標準溶液を用いてチオシアン酸カリウムの二次標準溶液が得られる。また、キレート生成を利用するものとして、亜鉛の一次標準溶液からキレート滴定により、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)の二次標準溶液を得る。

【分析用試薬】
金属イオンの分析いわゆる無機分析に使用される有機試薬は、非常に多く種々さまざまで、比色分析に利用されるもの、沈殿反応に利用されるもの、溶媒抽出に利用されるもの、点滴分析に利用されるものなどである。よく知られている有機試薬としてジメチルグリオキシムがあり、これはニッケル(?)、パラジウム(?)、白金(?)と有色キレートの沈殿を生成し、このキレートは非水溶媒に抽出されるので、ニッケル、パラジウム、白金の分離定量に対する特異試薬である。このような目的に用いられる試薬はほとんどがキレート試薬で、濃い色のキレート化合物を生成するので、比色分析とか点滴分析に利用されるものが多い。
無機分析に用いられる無機試薬は、有機試薬に比べて種類はずっと少ない。これらのうちでは沈殿反応に利用されるものが圧倒的に多く、そのほかには錯イオン生成に利用されるもの、有色の錯イオン生成により比色定量に利用されるものなどがある。 <成澤芳男>

【本】大西寛・束原巌著、日本分析化学会編『機器分析実技シリーズ 吸光光度法――無機編』(1983・共立出版) ▽上野景平・今村寿明著『試薬便覧』(1983・南江堂)

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