原索動物
(げんさくどうぶつ)
脊索{せきさく}およびその背方に位置する中空の神経管、鰓裂{さいれつ}(咽頭{いんとう}側壁の裂け目)、それに咽頭腹正中を縦走する内柱を、生活史の少なくとも一時期にもつが、脊椎{せきつい}は終生もたない海産動物の総称。脊索を尾部にもつもの(尾索類Urochordata=被嚢{ひのう}類Tunicata)と、それが体全長にわたるもの(頭索類Cephalochordata)とに大別される。冒頭にあげた諸特徴のうち、内柱は脊椎動物の甲状腺{せん}の先駆とみなされ、また脊椎を除くほかの特徴は脊椎動物と共通する。このため、尾索、頭索、脊椎の三動物群を系統的に近縁とみなして、脊索動物門Chordataの三亜門にそれぞれ位置づける近年の傾向があるが、前二者を原索動物門Protochordataとして独立させる体系もなお用いられている。かつては、半索動物をも原索動物の一員とみなしたが、前者の口盲管と後者の脊索との相同性が否定され、現在では原索動物から除外している。なお、近年、微化石コノドントを体内にもった動物の化石が得られ、これを脊索動物とみなして錐歯索{すいしさく}動物亜門Conodontochordataをたてる説、あるいは従来棘皮{きょくひ}動物に位置づけられてきた海果類(化石)を、すべての脊索動物の祖先形とみなしてカルキコルダータ亜門Calcichordataをたてる説が提唱されているが、前者は異論が多く、後者もまだ大方の支持を得るに至っていない。
脊索の構造には多様性が著しく、原索動物の系統進化に関する種々の議論をよんでいる。すなわち、頭索類では、脊索は筋肉性で脊髄神経の支配を受ける。一方、尾索類においては、ホヤ類幼生のあるものや尾虫類では、細胞外基質を扁平{へんぺい}単層上皮が包み込む構造であるが、マボヤやウミタル類の幼生では、一列に配列した細胞からなる。なお、脊椎動物では一般に多数の空胞細胞から構成される。 <西川輝昭>
